TikiTourの反省と稲垣さんとのコト

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2017年3月16日

思い出したくないTikiTourになってしまった。しかし、起こったことは事実だし、受け止める必要がある。

後悔と無念しか無いけど、振り返ってみる。

雨予想がドンピシャ当たって装備は万全だったが・・・

出発前より雨予想をしていた。

それがスタート当日になり、現実となったので、雨はさほど慌てていなかった。ウールのアンダーに厚手のジャージ、防水のウィンドブレーカーに新品のレインウェア。

いつもレインのアンダーは着用しないが、今回は念のためアンダーのレインウェアを膝上で切った短パンレインウェアを持ってきた。

コレがかなりよく、ケツがすごく暖かかった。パンツも濡れから防ぐことが出来て、結果的にアンダーウェアやジャージが濡れることがなかった。

証拠にDNFした2日目のFlock Hillオーバーナイトコントロールに到着して、ウェアをチェックしたところ、1日中雨中走っても中は全く濡れていなかった。

しかし、想像以上の寒さが、予想以上体を冷やし、ダメージを与えていたようだ。

初日の快走に気が緩んだかもしれない

2016年4本のRMを完走したが、4本とも初日ボロボロだった。タスマニアは調子が出なかったし、岡山は落車2回、北海道も眠くてグダグダ、GSRは喉痛、眠気、足首痛、サングラス紛失と散々だった。

しかし、4本とも完走した。これらの反省をふまえTikiTourは万全の準備をしてきた。事前の雨予想を合わせ、慎重にスタートした。

結果、予定の0時到着より1時間早くコントロールに到着。ゆっくりと出来た上4時間もの睡眠を初日から取ることが出来るという、オレ的にはじめての好スタートを切ることが出来たワケ。

コレに気が緩んだわけではないが、2日目に胃薬をドロップへ忘れるという痛恨のミス。体が予想以上に冷え、ダメージが有るということを感じ胃が重いことに気がついたのはスタートして2時間位立ったところ。

食えなくても、なんとか2日めのFlock Hillに吐かずに到着をすれば、なんとかなるとケアしながら進んだ。

しかし、Arthurs Passのとんでもない寒さが致命傷となり3回吐いた。残り10kmちょいのところで回収車に拾われて万事休す。

なにやってんだか・・・

太りすぎ

2016年オーストラリアのGSR1200km終わって、年末まで8kgも太った。年明けて6kg落ちたが・・・

GSRでもいつもより重い状態だったのに、さらに増量でTikiTourに来てしまった。通常よりも5kgは重たかった。

脂肪はあたたまりにくい。さらにただのウェイトハンデ。そこそこ暖かかったGSRはなんとかなったが、ここニュージーランドは許してくれなかった。

稲垣さんとのコト

今回のTikiTour、みんなトラックがこわいと言っていた。それが現実になったのが2日目の夜。アメリカのライダーがトラックに引っ掛けられ落車DNFとなった。

そして3日目、正確には4日目に入っている朝だった。オレはDNFしているので、最終日の200kmを(別設定された200kmブルベも含め)走るつもりはなかった。

ゆっくる寝てればいいのに、なぜか6時20分に目が覚めた。この時は知る由もなかった。

6-7時にかけてスタートをしていくライダーを見送った。この時点でまだ帰っていないライダー、所在不明ライダーが4人ほどいたとのことだ。カットオフまで2時間以上もあるので、じき返ってくるだろう。

オレはもう一度寝た。次に起きたのは9時過ぎだっただろうか。

リビングへ行くと、明らかに空気が違うことを肌で感じた。そう、それはお通夜にも似た雰囲気だ。

腹が痛くて白湯だけもらい、振り返るとテーブルの方でラップトップを開いている女性スタッフが稲垣さんの画像をスライドしていたのよ。

・・・まさかという思いを、確かめるのがこわくて時間に身を任せていた。

しかし、時間を追うごとにそれが確信と変わる。いつも一緒に走っていた海外ライダーのみんなと泣いた。

  • http://www.stuff.co.nz/national/90535154/cycling-community-mourns-loss-of-japanese-rider-killed-near-twizel

・・・・・・・・・・

稲垣さんとはじめて一緒に走ったのは、2013年からはじめたブルベ・・・まだ200kmを2本しか走っていないのに、いきなり挑戦をした九州ヘブンウィーク、そしてLEL(ロンドンエジンバラロンドン)1400kmだったはず。

400km

これは九州ヘブンウィークの一コマ。400kmを指宿を目指し諫早をスタートしたところ。

LELでは2日目のたしかBramptonコントロール付近で話をした。稲垣さんは近くにホテルを取っていると話していた。・・・なるほど、そんな方法もあるんだ・・・と、海外初参加のオレは思った。

シドニー・メルボルン1200km

その年、シドニー・メルボルン1200kmでも一緒だった。この時はDNF。稲垣さんもDNFだった。2日目に同じくDNFしているのに、3日目も走り出そうとしている稲垣さんを見て・・・マジか?と思った。

オレなんかDNFしたら、絶対に残りを敗戦処理走行なんてしようとも思わない。モチベ切れているので危ないというのが理由だけど、それ以上に走りたいなんて思わない。

そんな稲垣さんを見て、自転車で走るのが好きなんだな・・・とマジで思った。

2014年はアタック日本縦断2700kmで一緒に走った。稲垣さんかなりパンクで苦しんでいるようで、チューブがなくなったと言っていた・・・もしよかったらお使いくださいと、パンク恐怖症でチューブたくさん持っているたのでわけた。

その後、ことあるごとにチューブのお返しのことを言われていた。ほんと義理堅い人だ。

中止になった2014年北海道1200kmでは美幌峠の便所組で一緒だった。たしか。

PAP

2014年PAPで。この時は揃って完走できたよ。オレのはじめて1200km完走したヤツ。

2015年はPBPイヤー。

400km

2015年ヘブンウィークでの一コマ。これでSR取ってPBP行った。後ろ2番めが稲垣さん・・・のはず。

PBPでは、車検の時に会ったきりだった。オレはDNF。

2016年はツールドタスマニアからスタート。

最終日の朝、ベッドから起きて用意していると、稲垣さん寝言のように「オレDNF・・・」とか言っていた。

マジですか?と動揺しながら残り200kmスタート。

途中のチェックポイントで待っていてくれて、オレは稲垣さんにフリーズドライの鶏そぼろご飯をいただいた。マジでうまかった。

岡山

2016年岡山1200kmでは一緒に大山の道を登りました。

サッポロビール園

2016年北海道1200kmでは寒い雨の狩勝峠の下りを、富良野コントロールまで一緒に走りました。あれは助かったなー

GSR

2016年最後のRM、オーストラリアGSR1200kmでは、稲垣さんは半日早いイブニングスタート。オレはその11時間後のモーニングスタートとなっていたので、道中まったく合うことなかった。

稲垣さん2日目DNFとなってしまったので、オセアニア2連敗。

この時稲垣さん・・・「オレはオセアニアに縁がないなー」「毎回オセアニア来ているから、オセアニア好きと思われているけど違うんだよ。オレはヨーロッパに行きたいんだよ」「DNFのほとんどがオセアニアだよ」・・・とぼやいておりました。

TikiTour

そして、今回のTikiTour1200km。ホントに最後までオセアニアに縁がない・・・ことになってしまった・・・

TikiTourの2日目夜、オレと稲垣さん以外日本人5人がDNFとなってしまい、オレも2日目コントロールギリギリで嘔吐アウトになった。今思えば、残りの10kmを吐きながらでも走りきってDNFしなければ・・・3日目も走っていれば・・・何か変わったのだろうか・・・今も思ってしまう。

後悔の念でしかない。

稲垣さんが教えてくれたいろいろなことが頭をよぎる。「首、手首、足首は冷やすなよ」「RMは焦らないこと」「気持ち悪い時コーラでうがいするといいぞ!」「悪天候のジャージはウールが1番」・・・

オレのRMと国内の長いヤツは全部稲垣さんといっしょだった。多分今年2017年11月シドニー・メルボルンも絶対にリベンジで一緒に走れると思っていた。

TikiTourの最終日、主を失ったサドルバッグが寂しそうにLake Ruataniwhaコントロールのテーブルにのっていた。

カラビナ

そのサドルバッグについていたカラビナを稲垣さんの奥さんよりいただいた。

稲垣さんの形見。これからの1200kmをオレが連れて行ってあげられればと思っている。

ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

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